絵 湯村泰子(ゆむら たいこ)
文・写真 塩澤珠江
釜山空港出発ロビーでも、せっせとスケッチ中。
釜山上空。美味しくて楽しかった大邱と釜山。またね~。
つづく。
<季の風>(ときのかぜ)は東京都町田市玉川学園にある個人ギャラリーです。
絵 湯村泰子(ゆむら たいこ)
文・写真 塩澤珠江
コーディネーター 丸山雅子
(大邱広域市観光文化財課日韓通訳)
居酒屋のメニューの表紙は李朝民画でおなじみの虎!日本語だが内容が分からない物もあり、お隣のオジサンたちの料理を見ながら適当に注文。
郷土食では当たり前の「蚕の蛹」のおつまみ。塩澤は手が出ず、湯村さんは2つ挑戦するも、ギブアップ。昆虫食はハードルが高い・・・
湯気立つカニ鍋をスケッチ中。
ドングリのムッと野菜の和えもの。ムッはドングリの澱粉質を寒天状にしたもので、プルプルした食感。この和えものは、五味五色を基本にした健康食。韓国は体にうれしいものが外食でも食べられることが、今回の旅で実感できた。
つづく。
今日は投票日。記憶できる時間が短くなっているので、予定は直前に伝えることにしている。「今日は選挙だけど、行く?」当然のように「行くわよ」。
着替えの間中「投票用紙は?」を何度も何度も繰り返す。さて、ステッキを持って、いざ出発。62段の階段を降り、車に乗り込む。私の車は車高があるので、脚をしっかり上げないと乗りにくいが、あえて手伝わない。シートベルトも手伝わない。さあ、行きましょう!と思ったらレバーに母のシートベルトが巻きついていた・・・もう手伝わないとダメかな・・・。
小学校に着いてポケットにいれた投票用紙を出す直前に「コレが投票用紙なの?」とじーっと眺めている。係の方が手を差し出しているのに、なかなか渡さない。そうか、これは投票用紙その物ではないと考えているんだ・・・。
記入は難なくできる。68年間応援している党があるからだ。記入をすませると「名前だけでいいの?」と何度も言い、投票箱に入れるのに未練がましく手を離さない。
鹿乃子は一般女性が参政権を得られてから、最初の一回をのぞいて地方選挙も含め、投票を欠かしたことは無い。第一回は1946年4月10日、戦後初の衆議院選挙だった。
その年の3月29日、夫と、間もなく4歳になる私とともに中国から引き揚げ、京都を経て、鎌倉七里ガ浜の姉の家に転がり込んだから、最初の投票はできなかった。
帰りの車中で「棄権したことはないの?」「ない」ときっぱり言い切った。
「投票について人に相談したことも、ない」「自分で決めることだからネ」
「小さい頃から家の中で政治のことは、皆よく話していたから、関心があった」。
投票皆勤賞をあげよう。
101歳と21日。晴れ。
絵 湯村泰子(ゆむら たいこ)
文・写真 塩澤珠江
コーディネーター 丸山雅子
(大邱広域市観光文化財課日韓通訳)
「笑談亭」のオーナーで薬膳料理研究家のキム・スンラン先生に「薬膳れんこん料理」を習いました。
<蓮根のまるごと蜜柑煮>
ヘタ以外は全て使い、蓮根の輪切りと一緒にゆっくりゆっくり煮詰めます。
ノーワックスの蜜柑なら水洗いで、ワックスがかかっている蜜柑なら酢で洗います。
蜜柑を皮ごとざく切りに。
ブレンダ―でつぶす。
布で漉した蜜柑の汁で、蓮根をゆっくり煮詰める。
二品目は、ニンニクも唐辛子も使わない<蓮根の水キムチ>
大根、梨をすりおろし、布で漉した汁がそのまま水キムチのスープになる。
茹でた蓮根を輪切りにして、スープに入れる。味を見ながら塩を少々加える。
そのまま常温で24時間発酵させ、その後は冷蔵庫で7日間くらい保存できる。
ハスの花をイメージしたピンク色は、済州島特産の「百年草」という植物の実の粉末。
大根と梨のスープとシャキシャキ蓮根の水キムチ。たくさん作ったので、帰りに密閉容器を買って日本へ持ち帰りました。4日目くらいからスープの味が深くなり、蓮根にしみ込んで本当に美味しかったです。
細かい質問にも丁寧に答えてくださったキム・スンラン先生。丸山さん、ややこしい通訳をありがとうございました!。湯村さんはせっせとスケッチ中。
天井まで漢方材がずらりと並んだ「笑談亭」正面の棚。
絵 湯村泰子(ゆむら たいこ)
文・写真 塩澤珠江
コーディネーター 丸山雅子(大邱広域市観光文化財課日韓通訳)
薬膳料理家のキム・スンラン先生のお店「笑談亭」で「れんこん薬膳料理 午餐」フルコースのランチ。キム先生の母上は、宗家で祭祀に供される料理を作っていらっしゃったので、幼い頃から教わっていたとのことでした。
大邱は蓮根の大生産地、母上から伝授された韓国伝統の蓮根薬膳料理は他では味わえません。夜は「れんこん薬膳料理 正餐」で、このほかに3品つきます。
クチナシと済州島特産の百年草(後述)の実の粉末で染めたピンクの蓮根。
蓮根団子の酢豚。黄色のソースは蜜柑を煮詰めたもので、自然の甘酸っぱさで美味しい。
蓮根と黒クワイを粉末にして寒天状にしたムッ。オキュートに似たぷりぷりした食感。上にかかっているのは韓国海苔。
フルコースを味わった後は、厨房でキム先生から薬膳れんこん料理を習いました。
次回は、日本では味わったことのない蓮根料理をご紹介します。
つづく。
絵 湯村泰子(ゆむら たいこ)
文・写真 塩澤珠江
コーディネーター 丸山雅子
(大邱広域市観光文化財課日韓通訳)
繊維産業でも大邱は有名。その中でもベルベット(ビロード)が美しい、と知ったのは今回の旅。私たちにはあまりご縁がないかも~、と思いきや、見つけました、蓮グッズ!
模様の一部とアウトラインも透けているのが分かりますでしょうか?微妙な色合いの薄手のベルベット・ストールです。拡大してご覧ください。(巾60㎝ 長さ200㎝)。
韓国時代劇には宮廷が背景になっているドラマが多く、女性の王族の居室には、色々な蓮が描かれた屏風などが登場します。これはその中で使われるインテリアだそうです。
大きな座布団や背もたれ、脇息に描かれているのは、李氏朝鮮時代の民画の蓮です。
なぜベルベットで作られているのか?ベルベットはライトの明りを吸収するため、撮影がスムーズに進むのだそうです。
(湯村さんと二人で中宮―皇后になった気分で記念写真を撮りました)
タイムスリップはここまで。
地元スーパーに出かけます。先ずは生鮮食品売り場の蓮根をチェック。
さすが韓国、白菜をどっさり買い込んでいるお母さん。キムチ作りは世界無形遺産に登録された発酵食品。滞在中、どんな食事にも美味しいキムチが必ずついてきました。
ペーパーマットにも蓮の絵が・・・。お腹一杯頂きました!
一日でこんなに大邱を満喫しました。明日は今回のお目当て二つ目に出かけます。
つづく。
絵 湯村泰子(ゆむら たいこ)
写真・文 塩澤珠江(しおざわ たまえ)
大邱広域市 コーディネーター 丸山雅子
(大邱広域市観光文化財課 日韓通訳)
蓮根掘りの方法は大まかにいうと2種類あり「水掘り」と「鍬―クワ掘り」がある。日本でも地域によっては半夜月と同じ掘り方をする。
遠くにマンション群をのぞむ蓮田。ちなみに夏の光景を観光課から拝借した。
夏には「蓮まつり」が行われるそうだ。
食材としての蓮根栽培の地域なので、漢方材(蓮の実、蓮芯)は栽培していないとのこと。細い地下茎(ランナー)は輪切りにして乾燥、炒ってお湯にいれて飲む「蓮根茶」にしている。炒り方までは伺わなかったが、香ばしくて大変美味しかった。
一節が長いタイプの蓮根。一本一本手で掘りだす。蓮田の土は粘土質なのでとても重い。
ちなみに日本の「水掘り」はこんな風にする。写真は9月初旬、静岡県で撮ったもの。
絵 湯村泰子(ゆむら たいこ)
写真・文 塩澤珠江(しおざわ たまえ)
大邱広域市 コーディネーター 丸山雅子
(大邱広域市観光文化財課 日韓通訳)
大邱(テグ)市の正式名は大邱広域市。「大きな原野」という意味で、繊維、金属、そして蓮根とリンゴの産地。リンゴの品質はアジアでも有名らしい。
これから2日間お世話になる観光文化財課の丸山雅子さんと無事に会えた。
先ずは「幸せの韓果」というちょっとドラマティックな名前のお菓子屋さんへ。
蓮根を使ったお菓子が色々積まれている。ウイークデーのせいかガランとした店内で目に入ったのが手描きののれん。裏側に回ってみたら風に揺れないよう魚の形のおもりが下がっていた。なかなか洒落っ気がある。
左はさくっとした食感のお菓子。いくらでも食べられそう。右はお茶うけにぴったりのしっかりした味の蓮根菓子。お皿は翌日行った陶器屋さんで買ったもの。
器いっぱいにたっぷり盛るのが韓国式だが、蓮の模様を生かしたいので、余白をのこした日本式の盛り方で。
昼食は、これまたドラマティックな「蓮の香のとどまる庭」と言う名のお店へ。
ランチョンマットにも蓮の花が・・・
大邱広域市の旅、まだ半日です。
つづく。